月刊新松戸2011年1月号 第150回 データ救出現場からの報告~サルベージについて~

皆さんは「サルベージ船」というのを聞いたことがあると思いますが、沈没船の船体や積み荷などを引き揚げるこのサルベージという言葉がパソコンの世界でも使われています。パソコンの画面上から消えてしまっても、またパソコンが起動しなくなってもデータを救出できる可能性は残っています。具体的には、壊れた記憶媒体(主にはハードディスク;以下HDD)からファイルを救出することです。

パソコン修理とは多少異なる分野となりますが、現在のHDDを使用するシステムではこのサルベージ技術は不可欠です。高速回転している円盤から読み取るという機械的な要素を持つHDDは、実は早いと4,5年で壊れ始める消耗品なのです。近い将来それは、半導体のメディア(SSDなど)に代わっていくようですが、それまではこの時限爆弾のようなHDDを抱えたパソコンと付き合っていかなければならないのです。

沈没したパソコンからデータを取り出すことができるかどうかは、サルベージ船の性能(救出用マシンとソフト)とサルベージ技術者の腕(ノウハウ)にかかっています。引き上げ作業の途中でクレーンから外れ、二度と引き上げができなくなる危険性もあるのです。

非常に幸運な場合としては、取り外したHDDを別のパソコンに接続しそのまま通常のコピー作業で済む場合です。

  • 軽度の論理障害の場合
    ファイルの管理情報が一部壊れていることでファイルが一部見えなくなっている場合です。各種の修復ソフトで救出可能です。
  • 論理障害、または軽度の物理障害の場合
    HDDは認識するけど、ファイルが全く見えないような状態です。ファイルの管理情報がかなり壊れている場合なのですが、それでも何とかファイルとして抽出できる可能性があります。弊社内ではここまでの対応となります。
  • 重度の物理障害の場合
    HDDがパソコンから認識できない状態や内部の円盤が物理的に損傷を受けて読み取れない場合です。HDD から異音がしている場合はまずこの状態です。どうしても大切なデータがあり救出したいという場合には、専門業者に出すのですが、非常に高価で時には100万円程になることもあります。

くれぐれもデータ(ファイル)の救出(復旧、復元、修復、復活とも言います)のお世話にならなくて済むように日頃のバックアップを心掛けましょう。ファイル(フォルダ)ごとのバックアップとは別に、HDD全体のバックアップ(クローン作成とも言います)も対策の一つです。あなたのHDDも必ずいつか突然に壊れる、と思っていて下さい。

松戸パソコン修理Pハウス
野口 隆

月刊新松戸2001年3月号 第36回 古川判事はパソコンの初心者だった!?

先日の捜査情報漏えい事件の新聞記事を読んで、福岡高裁の古川判事はパソコンにあまり詳しくないなと思いました。妻のストーカー犯罪の証拠隠しで彼はパソコンの中のファイルを消したつもりだったようですが、警察はそのファイルを復元したとありました。

私はここで犯罪の手助けをするつもりではありません。コンピュータ(パソコン)のファイルの保存と消去の基本的な仕組みについて知っておいて欲しいのです。

ディスクには、ハードディスクやフロッピー、MO、ZIP、CD-ROM、DVDなど様々な記録メディア(媒体)がありますね。記憶容量、記録と読出し速度、価格、携帯性でそれぞれに特徴がありますが、どれもディスク(円盤)です。1分間に何千回転もしている円盤ですが、記録は細かい小部屋単位に行われているのです。ファイルの大きさにより、通常いくつかの小部屋(クラスタという)に分かれて保存されます。パソコンを買ってきた当初は、ファイルは連続した場所に整然と並んでいますが、使い込んでくるとだんだんと不連続になります。

どういうことかというと、ソフトを削除したりすると空き部屋が出来ます。その後に別のソフトをインストールしたりファイルを追加保存したりすると、空いた部屋に順番に詰めていくからです。「ディスクの最適化」とか「ファイルの再配置」というのは、このバラバラになった断片化したファイルを連続的に並べるということです。年に数回程度でよいのですが、最適化を行うとファイルの読み書きが若干早くなるようです。

さて、本題に戻りましょう。ファイルの削除とは、ファイルをデスクトップ上のごみ箱フォルダーへ捨てることですね。ごみ箱を空にしない限りそのファイルを元に戻すことが出来ることはよく知られています。しかし、ごみ箱を空にしてしまったらファイルは取り出せないのでしょうか。普通には取り出せませんが、削除した直後であれば、ある種のソフトやテクニックで完全に取り出せる可能性があるのです。

ファイルの削除(ごみ箱を空にする)の仕組みですが、先ほどの小部屋をきれいにお掃除してデータを消しているのではありません。すべての小部屋を管理している台帳が同じディスク上にあってその管理台帳(FATという)からそのファイルの存在を消去しているだけなのです。さらにその消去も実に簡単で、ファイル名の先頭の1文字を消しているだけなのです。ですから、台帳を壊すか(ディスクの初期化)、空き部屋に別のファイルを書き込まない限り、元のファイルは100%そのままで残っているのです。 要らなくなったパソコンを処分する際には、「ハードディスクを初期化してから!」ということが意外と知られていないのです。

松戸パソコン修理Pハウス
野口 隆